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  • 2006/02/14
  •  温泉兼管理釣り場。
     夜で、寒く、湯気が立っている。
     魚を捕れる場所は狭く、3人までしか入ることができない。
     私はそこを管理している。

     ヤクザがいつまでも魚を捕っているので、後ろで待っていたヤクザがヤジを飛ばす。飛ばされた方のヤクザとの不穏な空気。
     待っていた方がそこへ入る。どけ。しかし前にいた方もどかない。
     しばらくの睨み合いからもみ合いになり、さらにしばらくしてどちらかが刃物を抜いた。キラリと白い光が反射した。魚のようだと私は思う。

     丸腰の方が逃げる。私の方へと泳いでくる。
     立っても肩まで沈んでしまうその温泉をうまく移動するには泳がなくてはいけない。
     追っているヤクザが逃げるヤクザへと切りつけた。

     きった。と私は声に出す。

     唸るような声を上げて血を流しながらこちらに泳いでくる。
     温泉だ。身体を動かしていると沢山の血が巡る。流れる。
     透明に近かった温泉が赤く染まる。濁っていて汚い。

     止めようとは思うのだけれど焦ってなんと言えばいいのかわからない。
     ヤクザはばしゃばしゃと飛沫を上げて必死にこちらに向かって泳いでくる。
     私のいるところは少し高くなっていて、そこへ上がろうとしているのか。
     切った方も泳いで追う。赤い温泉を泳いで追う。振り回す。きらきらきらきらと刃物が光る。
     それが怖い。

     刃物はダメです。刃物はダメですとそればかりを繰り返して言う。
     刃物はダメです。刃物はダメです。刃物はダメです。刃物はダメです。そればかりを。

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